<Header>
<Author: 白居易>
<Title: 新樂府 上陽白髮人	愍怨曠也>
<Format: 格式不明>
<Year: 1964>
<BookName: 漢詩大系  白樂天>
<Translator: 田中克己>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 上陽白髮人>
<BookPage: 71-75>
<UsedPage: 5>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
上陽人，
紅顏闇老白髮新。
綠衣監使守宮門，
一閉上陽多少春。
玄宗末歲初選入，
入時十六今六十。
同時采擇百餘人，
零落年深殘此身。
憶昔吞悲別親族，
扶入車中不教哭。
皆云入內便承恩，
臉似芙蓉胸似玉。
未容君王得見面，
已被楊妃遙側目。
妬令潛配上陽宮，
一生遂向空房宿。
宿空房，
秋夜長，
夜長無寐天不明。
耿耿殘燈背壁影，
蕭蕭暗雨打窗聲。
春日遲，
日遲獨坐天難暮。
宮鶯百囀愁厭聞，
梁燕雙栖老休妬。
鶯歸燕去長悄然，
春往秋來不記年。
唯向深宮望明月，
東西四五百迴圓。
今日宮中年最老，
大家遙賜尚書號。
小頭鞋履窄衣裳，
青黛點眉眉細長。
外人不見見應笑，
天寶末年時世妝。
上陽人，
苦最多，
少亦苦，
老亦苦，
少苦老苦兩如何？君不見昔時呂向美人賦，
又不見今日上陽白髮歌。
<End Poem>
<Translation>
上陽宮の宮女は 紅の花のかんばせもいつのまにか老いて白髪がはえてきた。緑の衣を着た監視の役人が宮の御門の番をしている。この上陽宮に彼女がとじこめられてからながい年月がたった。艾紫皇帝の御代の最後の年にはじめて宮女に選ばれて宮中にはいった。宮中にはいった時は十六歳だったが今は六十歳だ。同時に選び出されたものは百何人だったが だんだん死んでいって永年のうちには自分だけがのこった。おもえば昔、悲しみをかくして親類どもに別れたとき 親類どもは手をひいて車の中へ入れ哭することもさせなかった。みなでいうには「宮中にはいったらすぐ御寵愛を受けるよ。顔は蓮の花そっくりだし胸は玉のようだから」と。ところが天子さまのお顔を見るのも許されないうちに はやくも楊貴妃に遠くからにらまれた。嫉妬してこっそりとこの上陽宮に流されて 一生涯とうとう男げのない部屋でくらすこととなった。 秋の夜の長いこと 夜は長いのに眠られずしかも夜はなかなか明けない。ちらちらするあけがたの灯も壁の向こうにやって、しとしとと降る夜の雨の窓にあたる音のわびしさ。春の日の長いこと 日ながなのにひとりでいると空はなかなか暮れない。宮中に住むウグイスがよく鳴くが悲しいので聞くもいやだし 梁に巣くうッパメはつがいでいるけれど年よってはねたむ気もしない。春のウグイスが帰り秋のツバメが去るとていつもしょんぼりしていて 春がゆき秋が来ても何年かはおぼえもしなかった。ただこの奥ぶかい御殿で明月だけは見てきたが 月の往来して満月になったのは四、五百回だったろう。現在では宮中でいちばんの年よりで おかみからも尚書という称号をくださった。さきのとがった靴に、びったり身についた衣裳 青いまゆずみでかいた眉は細く長い。世間の人は見ないが見たらきっと笑うだろう。天宝末年の流行の化粧なのだ。 上陽宮の宮女は苦しみがいちばん多い。 若い時も苦しんだが年とっても苦しむ。少女の苦しみ老年の苦しみと両方ともどうしたらよかったろう。諸君は見なかったか、むかしの読めの詩である呂向の美人賦を また見ないか、今日のわたしの上陽宮の白髪の人の歌を。
<End Translation>
<Formatted Translation>
上陽宮の宮女は 
紅の花のかんばせもいつのまにか老いて白髪がはえてきた。
緑の衣を着た監視の役人が宮の御門の番をしている。
この上陽宮に彼女がとじこめられてからながい年月がたった。
艾紫皇帝の御代の最後の年にはじめて宮女に選ばれて宮中にはいった。
宮中にはいった時は十六歳だったが今は六十歳だ。
同時に選び出されたものは百何人だったが だんだん死んでいって永年のうちには自分だけがのこった。
おもえば昔、悲しみをかくして親類どもに別れたとき 
親類どもは手をひいて車の中へ入れ哭することもさせなかった。
みなでいうには「宮中にはいったらすぐ御寵愛を受けるよ。
顔は蓮の花そっくりだし胸は玉のようだから」と。
ところが天子さまのお顔を見るのも許されないうちに 
はやくも楊貴妃に遠くからにらまれた。
嫉妬してこっそりとこの上陽宮に流されて 
一生涯とうとう男げのない部屋でくらすこととなった。
秋の夜の長いこと 
夜は長いのに眠られずしかも夜はなかなか明けない。
ちらちらするあけがたの灯も壁の向こうにやって、
しとしとと降る夜の雨の窓にあたる音のわびしさ。
春の日の長いこと 
日ながなのにひとりでいると空はなかなか暮れない。
宮中に住むウグイスがよく鳴くが悲しいので聞くもいやだし 
梁に巣くうッパメはつがいでいるけれど年よってはねたむ気もしない。
春のウグイスが帰り秋のツバメが去るとていつもしょんぼりしていて 
春がゆき秋が来ても何年かはおぼえもしなかった。
ただこの奥ぶかい御殿で明月だけは見てきたが 
月の往来して満月になったのは四、五百回だったろう。
現在では宮中でいちばんの年よりで 
おかみからも尚書という称号をくださった。
さきのとがった靴に、びったり身についた衣裳
青いまゆずみでかいた眉は細く長い。
世間の人は見ないが見たらきっと笑うだろう。
天宝末年の流行の化粧なのだ。
上陽宮の宮女は苦しみがいちばん多い。
若い時も苦しんだが年とっても苦しむ。
少女の苦しみ老年の苦しみと両方ともどうしたらよかったろう。諸君は見なかったか、
むかしの読めの詩である呂向の美人賦を 
また見ないか、今日のわたしの上陽宮の白髪の人の歌を。
<End Formatted Translation>